番組審議会

番組審議会とは

放送法に基づき、放送番組の適正を図るために外部有識者の声を聴く場として設置しています。
主な役割は、

・放送番組の適正を図るため必要な事項を審議する、
・放送局に対して意見を述べる

ことなどとなっており、番組審議会が取りまとめた「答申」や「意見」は放送局がこれを尊重して必要な措置を講じます。
また具体的な番組の視聴・聴取も行われ、放送局はその議論や意見交換を次の番組作りに役立てています。

審議委員名

委員長    磯 山 隆 幸(写真家)
坂 本   徹(北里大学 獣医学部 教職課程 教授)
八木橋 俊 夫(陸奥新報社 常務取締役 営業局長)
川 嶋 大 史(つがる市観光物産協会 会長)
平 間 恵 美(NPO法人はちのへ未来ネット 代表理事)
平 野 陽 児(東奥日報社 デジタル局長)
上 村 鮎 子(十和田乗馬倶楽部 代表取締役)
粒 来 和 成(デーリー東北新聞社 編集局次長 編成本部長)

※平間委員・粒来委員は意見書面提出での出席

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第654回番組審議会

青森放送では7月8日に第654回番組審議会を開催し、

テレビ番組
『 世界遺産登録の功罪 ~白神山地のミライは~ 』 
( 5月27日(月)26:59 ~ 27:57 放送 )を審議しました。

 
【番組内容】

白神山地が世界自然遺産に登録されてから2023年12月で30周年を迎えた。しかし、登録後は
入山をめぐって青森県が「届出制での入山許可」、秋田県が「原則入山禁止」と異なる対応が続いている。
縄文時代から「ヒトと自然が共生」してきた豊かな森は自由に入ることが出来ない森になっている。
自然保護のあるべき姿とは?

弘前市の登山家・作家の根深誠さんは青秋林道建設阻止運動の中心として活動した。
行政と戦ってきた根深さんは、3年前に世界文化遺産に登録された
「北海道・北東北の縄文遺跡群」との世界複合遺産をめざすべきだと訴える。

白神問題を40年取材している仙台在住のジャーナリスト・佐藤昌明さんは、秋田側の世界遺産地域の入山禁止を見直そうと講演活動を続けている。すると、秋田の自治体トップから入山禁止を見直す時期ではないかという声が上がり始めた。

鰺ヶ沢町のマタギ・吉川隆さんは代々クマを撃ち山菜を採って森と共に生きてきた。しかし、
世界遺産に登録されると禁止事項が多くなり「ふざけるなと大きな声で叫びたくなる」と憤りを隠さない。
森の文化が失われようとしている。

さまざまな人の証言から世界遺産を未来につなげるためにどうするべきか考える。

審議委員からの感想・意見

  • 青秋林道の建設阻止から白神山地管理計画の見直しなど、これまでの時間の流れと振り返りがよくまとまっていた。当事者の声を拾い、真実を伝えていく報道の力の重要性を改めて感じた。今後は、青森と秋田の行政同士の対話を深めるべきであり、県民も自分事として考えていかなければと深く感じた。
  • 秋田県側の取材が薄いように感じたが、各方面に取材を重ねることで入山規制を巡る葛藤は理解できた。関係者の利害関係が異なり、さらに理念も違うからこそ、線引きが難しいのだと痛感した。表層的でない重厚な番組。何よりも様々なことを勉強させてもらった。
  • 番組タイトルの「功罪」の言葉の響きが印象的。ブナの森と水とのつながりの深さ、自然のメカニズムの重要性を強く感じた。昔から白神の自然とともに生きてきた人々について、暮らしについて考えさせられた。観光客を受け入れながら自然を守るバランス、自然と共生するすばらしさも考えさせられた番組。
  • 人の生活・白神の山の文化を尊重し、自然を守る。強いメッセージ性を感じた。欲を言えば、青森側と秋田側の対応の違いについて、理由や根拠をより詳しく伝えてほしかった。秋田側の生の声や議論の詳細があれば、さらに説得力が増したと思う。
    真剣に見入ってしまった番組で、白神を調べてみたいと思った。
  • 人と自然の共生について、青森県と秋田県の見解の相違が不可解だったが、この番組がひもといてくれた。行政の継続性には長短がある。青森・秋田、両県の行政の違いに「行き過ぎた自然保護」とは何かを考え、とても勉強になった。もっとみんなで考えていかなければいけないのではないだろうか。
  • 白神山地管理運営計画検討委員として尽力した村田孝嗣さんが保存していたユネスコからの返書には、世界自然遺産の管理について記してあり、非常に感心した。現地取材など機動力があり、今後の世界遺産の在り方を視聴者に問いかける意義のある番組だった。
  • 人間のエゴ・身勝手さを痛感。様々なことが人間の都合であり、実際に白神で生きてきた人たちが翻弄された。観光面に目が向きがちだが、本質に向き合うことができた。「自然とは何か」を深く考えるべきであり、考えなければならない。変化していく中で自然を守るためにどうすべきか考えさせられた。
  • 時系列で「よくぞここまでまとめた」という思いで視聴した。手をつけたことがすごい。よく作り切ったと思う。自然とは何か、共生とは何か…必要な部分は拾い集めていた。メッセージを発信し、物語性も客観性もある。報道特番として秀逸。メディアとして監視しながら、モニタリングを継続してほしい。
次回の番組審議会は9月上旬を予定しています。

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