2025年日本民間放送連盟賞
ラジオ教養番組部門 優秀賞
「あなたと見た風景~目の見えない初江さんと時のうつろい~」
7年前にラジオ番組『RAB耳の新聞』を引退した全盲の内田初江さんは当時78歳。記憶力が落ち視覚に頼らずに番組を構成することが難しくなったといいます。引退後は夫で同じく視覚障害者の利男さんと助け合いながら、晴眼者とかわらない日常生活を続けてきました。
初江さんを取材した『あなたと見た風景』はシリーズ3作目。85歳となった今、独りで暮らす彼女はもう昔のことや思い出にはこだわらないといい、日々充実した生活を送っています。一方で、10歳まで目が見えていた彼女の記憶のなかに、今も消えない風景はあるのでしょうか。初江さんの日常に寄り添いながら、マイクを通して紐解きました。「庭いじりや鳥の声、娘の成長記録と同時に亡き夫との関係や戦争の記憶も静かに語られ、温かさと切なさが交錯する。彼女の穏やかな日常を音と短歌をキーワードに丁寧に描くことで、見えない世界の感覚を想像させ、追体験しているような気持ちになる良作である」と評価されました。
2025年5月25日放送
2025年日本民間放送連盟賞
ラジオエンターテインメント番組部門 優秀賞
「RAB耳の新聞スペシャル 寄宿舎放送クラブ」
『RAB耳の新聞』は長年にわたり目の不自由なパーソナリティたちが視覚障がいについて主体的な放送を続けていますが、今回、一夜限りのエンターテインメント番組に初めて挑戦しました。
音楽番組として“普通”のトークでスタートしますが、出演者は全員、視覚障がい者です。MCの板橋かずゆきと宮川秀美はおススメの曲を紹介したあと、今年は母校の青森県立盲学校が百周年であることを伝え、さりげなく目が見えないことを語ります。2人は盲学校の同級生でした。寄宿舎での楽しみはラジオで音楽を聴くこと。徐々に視力を失う中、ほうきをギターにみたててバンドごっこをしたり、ラジカセのワイヤレスマイクで放送ごっこをしていた彼らは、晴眼者と変わらない無邪気で甘酸っぱい青春の日々を過ごしていました。
「視覚障がい者にとって音楽がどれほど大切か、ラジオだからこそ深く理解することができる秀作。地域でこうした番組を支えてきたことに対する放送局の公共性も評価」されました。
2025年5月25日放送