番組審議会

番組審議会とは

放送法に基づき、放送番組の適正を図るために外部有識者の声を聴く場として設置しています。
主な役割は、

・放送番組の適正を図るため必要な事項を審議する、
・放送局に対して意見を述べる

ことなどとなっており、番組審議会が取りまとめた「答申」や「意見」は放送局がこれを尊重して必要な措置を講じます。
また具体的な番組の視聴・聴取も行われ、放送局はその議論や意見交換を次の番組作りに役立てています。
第645回番組審議会
青森放送では9月に第645回番組審議会を開催し、


ラジオ番組 

『もうひとつのベースボール ~阿部翔太(あべ しょうた) ゼロからイチへの挑戦~ 』

( 5月28日(日) 21:00 ~ 21:45 放送 ) について審議しました。



【番組内容】

今年3月に開催されたWBCワールドベースボールクラシックの影響で、日本では野球の人気が

高まっています。しかしWBCに女性の大会がないように、野球は長年、男子のスポーツとされ、

これまで青森県内の高校には女子硬式野球部は存在しませんでした。



2022年春、弘前学院聖愛高校に青森県内初の女子硬式野球部が誕生しました。集まった部員はわずか6人。

コーチとして野球部創設から関わっていたのが阿部翔太さん。福島県出身、31歳の若者です。


 彼には知られざる野球経歴がありました。かつては高校で甲子園を目指し大学でも野球をしていましたが、

社会人になると野球から離れてしまいます。しかし東日本大震災で避難生活をしていた祖母からの手紙が

きっかけとなり、海外ボランティアを決心。中米の貧しい国ニカラグアへ赴任し、女性たちに野球への道を

拓きます。現地では「グラン・ペルソナ」「偉大な人」とも呼ばれた経歴があります。


 現在は国内外で活躍中の阿部さんですが、その根底にあったのは、子どものころの貧しく、

つらい記憶でした・・・。この番組は、男子の野球と女子の野球、日本の野球と貧しい国の野球といった

多様性について、阿部さんの活動を通してリスナーと考えたいと思い制作しました。

審議委員名


委員長    磯 山 隆 幸(写真家)
坂 本   徹(NPO法人日本人財発掘育成協会理事長)
八木橋 俊 夫(陸奥新報社 常務取締役 営業局長)
川 嶋 大 史(つがる市観光物産協会 会長)
平 間 恵 美(NPO法人はちのへ未来ネット 代表理事)
平 野 陽 児(東奥日報社 デジタル局次長)
上 村 鮎 子(十和田乗馬倶楽部 代表取締役)
粒 来 和 成(デーリー東北新聞社 編集局報道本部長)

※ 粒来委員は意見書面提出での出席


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審議委員からの感想・意見

  • 挑戦的なタイトルに意気込みを感じる。
    集音にも気を配り、臨場感を生かしている。
    男女格差がある社会の矛盾を解消したい思いが根底に感じられた。
  • 高校教育が本来持っているスポーツの場に国際的な視野が加味され、広がりをみせた。
    色々なことを投げかけている面白さがある。
  • それぞれのインタビューのバランスが良い。
    性別や国境を越え、野球で人と人を繋げたい思いや信念が伝わった。
    スポーツの力を信じたいと思う番組。
  • 日々の報道だけでは伝えきれないことを掘り起こすことができたドキュメンタリーならではの番組。
    エピソードや背景なども丁寧に描いている。
    やや盛り込み過ぎの感もあるが、阿部さんにスポットライトを当てた意義は大きく、今後も継続取材してほしい。
  • ラジオなのに、様々なシーンが見えてくるようだった。
    スポーツならではの清々しさを感じさせる。
  • 共感と勇気をもらえる良作だが、焦点を絞りきれておらず、違和感を覚えた。
  • ソフトボールの歴史に触れつつ「なぜ女子野球が普及しないのか」を
    証言を交えながら、アカデミックに分析していたのも興味深かった。
  • 中盤から終盤にかけて「なるほど、そういう構成なのか」と感心させられた。
  • 一度聞いただけでは分かりにくいが、三度聞くと「凄い」と感じる見事な構成。
    年代や立ち位置によって捉え方が様々に異なる番組だと思うが、終始一貫して
    弱者を支える視点を外さず、随分うまく紡いで、よく作り上げた。