【異変】「業者の方が魅力的」高騰続くコメが農協に出荷されない!? “青田買い”で獲得競争が始まっている現場の実情は… 青森県

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青森 2025.05.19 20:33

コメの価格の高騰が続く中、ことしの田植えが本格的に始まりました。
米不足を受け、県内では早くもこれからとれるコメの獲得競争が始まっています。
現場を取材しました。




青森市有数の生産団体・羽白開発の田んぼです。
ことしはまだ田植えが始まったばかりですが、早くも いわゆる「青田買い」の動きがあるといいます。

★農事組合法人羽白開発 福士博人代表理事
「業者が直接来てちょっと世間話しながら、ことしもよろしくと来ているところはありました」

羽白開発は去年57ヘクタールで、まっしぐらやはれわたりを生産、25万キロあまりを出荷しました。
いつものとしは半分を農協に、半分を業者に販売しています。
しかし、コメ不足が深刻になった去年の秋、異変が起きました。

★農事組合法人羽白開発 福士博人代表理事
「この順番で秋のうち来た業者なんですが、違う業者が来る度にどんどん値段が上がっていって」
「当初の概算金が1万5,000円なので、平均して8,000円くらいの買い取り価格の差があった」



「異常ですね…」業者が提示した価格は

高い業者は2万4,700円を提示したと言います。

★農事組合法人羽白開発 福士博人代表理事
「異常ですね。とんでもない値段だと思ってみていました」

去年、全農県本部の農家への仮払い金の目安額は60キロ当たり過去最高の1万5,000円でした。
しかし、業者の高値買い取りの動きなどを受け、のちに2万2,000円にまで引き上げました。


減る農協への出荷 「業者の方が魅力的 価格の面では強かった」

獲得競争の激化を受け、羽白開発から農協への出荷は去年、全体の2割程度にまで減りました。

★農事組合法人羽白開発 福士博人代表理事
「秋の時点では業者の方が魅力的 価格の面では強かった」
「農協は最初の概算金から、もう少し強気にいかないとなかなか厳しい状況だと思います」

全農県本部によりますと、24年産米の契約農家からの集荷率は8割を下回る見込みです。
高値の業者に1割ほどが流出したと見られています。



新潟では「異例の対応」も青森県では…

こうした状況を受け新潟県の農協では、ことし産の仮払い金の最低保証額を田植え前の3月に示す異例の対応をしました。
一般コシヒカリで2万3,000円の高値です。
一方、全農青森県本部はことしの目安額は例年通り9月に発表する予定で、金額は未定だとしています。
コメの集荷業者でつくる県内の組合でも、去年産の集荷率は76%にとどまりました。
ことしは…

★県米穀集荷協同組合 齋藤猛専務理事
「もうすでに農家の方に出向いている県外業者もいます それを考えると、2万3,000円から2万5,000円の間じゃないかなと」

ことし県内の主食用米の作付面積は3万8,600ヘクタールと、去年の実績より1,400ヘクタール増える見込みです。
東北などの主要産地で面積を増やす地域が多くなっています。




2倍以上の高値 「やむを得ない一面もあります」

こうした中、国がきょう発表した国内のスーパーの平均価格は5キロあたり4,268円と前の週より54円上昇しました。
去年の同じ時期と比べると2倍の高値が続いています。


★県産品販売・輸出促進課 中村義人課長
「生産コストが上がっていますので、価格上昇はやむをえない一面もあります。一方で、高すぎると『お米離れ』が起きる見方もある。バランスの取れた価格が将来的に青森県のコメが売れる良い結果につながる」

コメは近年、価格が安すぎて採算が取れないという声が農家から上がっていましたが、去年一転して急激に高騰しました。
農家の収益があがることが期待されますが、消費者のコメ離れも懸念され、試行錯誤が続いています。