■6720万円の贋作一般公開 「本物がない?」ベルトラッキの空想絵画【徳島】(徳島県)
県立近代美術館が6720万円で購入し、所蔵していた絵画が贋作と判断された問題で、美術館は5月11日からこの絵画の一般公開を始めました。
(県立近代美術館 学芸員)
「どんな絵かというと、見ての通り写実的な風景画というのではなくて」
「ちょっと奇抜的な描き方です。」
美術館職員の隣に飾られてあるこちらの絵画は、ジャン・メッツァンジェの作品「自転車乗り」として、1999年に県立近代美術館が6720万円で購入しました。
しかし、こちらの作品、ドイツの天才贋作師と呼ばれるヴォルフガング・ベルトラッキ氏による「贋作」だとの情報がネット上で見つかり、2024年の夏、贋作の疑いが浮上しました。
当時、四国放送の取材に対しベルトラッキ氏は…。
(ヴォルフガング・ベルトラッキ氏)
「絵は、1988年ごろにパリの業者に売ったと思う」
「10万ドルくらいで売れたかな」
そして調査は進み、2025年3月、県立近代美術館の会見で…。
(県立近代美術館・東條揚子 館長)
「この度、徳島県立近代美術館では、これまでジャンメッツァンジェ作『自転車乗り』としていた所蔵作品は」
「ヴォルフガング・ベルトラッキによる贋作であると判断した」
ベルトラッキ氏自身の証言のほか、本人が自叙伝に作品を掲載していること、ドイツ・ベルリン州警察の捜査結果などから、ベルトラッキ氏による「贋作」、偽物だと判断されました。
県立近代美術館は展示を取りやめていましたが…。
(県立近代美術館・竹内利夫 学芸員)
「(来館者から)どんな作品だったのか、一度見たことあるが、もう一度見られるのか?というような声をもらった」
「私たちとしても、説明しなければと考えている」
「この件の報告・説明という意味で、作品を見ていただく機会を作りたいと考えている」
県立近代美術館では11日から、作品の展示を開始しました。
話題の絵画を一目見ようと朝から、約30人が美術館を訪れました。
11日はこの作品を「贋作」と判断した経緯や根拠などについて、学芸員の解説も行われました。
(県立近代美術館・竹内利夫 学芸員)
「贋作ということで、本物はどこにあるんですか?という質問もある」
「本物はないんです」
「これはどこにもない、贋作者が空想で描いた絵」
「元々本物もない絵ですし、贋作者が空想して作ることに腕が長けていた」
「でも、非常に悔しいし、皆様にも申し訳ない思い」
「この絵画はそういう代物」
(徳島市内からの来館者)
「私は個人的に、本物の贋作を見たことがなかったので、見てみたいな」
「公開されるなら見てみたいな、という思いがあったので来た」
(香川県からの来館者)
「先入観で見てしまうところが、私たち素人」
「ピカソであればピカソの描き方とか」
「ピカソの絵だと思い込むのがわれわれだと思う(見分けるのは)難しいと思います」
(東京からの来館者)
「絵としては素晴らしい」
「誰も見抜けなかったということだから」
「仕方ないでは済まないのかも知れないが、どうしようもない」
(県立近代美術館・竹内利夫 学芸員)
「皆さん熱心に聞いてくれて感謝しているが、問題が複雑ですので、伝えていくの難しいなと思いました」
「これからこのあとも何回か(解説の)機会がありますので」
「できるだけきちんと、どういうことなのかを的確にお伝えできるように、心がけたいと思います」
「贋作」と判断された絵画は、県立近代美術館で6月15日まで無料で公開されています。
今後の対応について美術館では、弁護士と相談しながら進めていきたいとしています。
(05/12 18:21 四国放送)
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