■みちのくプロレスでデビュー 秋田市出身19歳の新人プロレスラー 夢をかなえ家族の前で迎えた一戦に密着(秋田県)
東北を拠点に活動する団体・みちのくプロレスで、今年、秋田市出身で19歳の新人レスラーがデビューしました。
今月初め、デビュー後初めて行われた、地元での大会に密着しました。
■みちのくプロレスに入門!秋田市出身 19歳の素顔
万全な状態ではないためか、杖を片手にリングインしたレスラーは、もう55歳。
「ザ・グレート・サスケ!」
サスケ選手が20代で立ち上げたみちのくプロレスは、華麗な飛び技が見どころの一つです。
今では、日本のプロレスで3番目に古い団体となりました。
おととし、県内の高校に招かれて試合を行った際には、衰えを感じさせない、華麗な技を披露していました。
レスラーとして人生を歩み、30年余りとなった今、毎試合、万全の状態で臨むのは難しくなり、後輩たちに圧倒されることもありますが、ベテランらしい、味わい深い振る舞いで、観客の心をつかみます。
観客を沸かせ続けるためには、新たな世代の活躍も必要ですが、その期待がかかる新人レスラーが、今月3日、ふるさとで開催された試合に初出場しました。
去年4月に入門し、デビューは今年3月。
秋田市土崎出身。
2005年8月生まれの19歳、佐藤維選手です。
父や、祖母、そして姉も、リングに立つ勇姿を見守りました。
姉・聖華さん
「家では、恥ずかしがり屋なイメージだったんですけど、友達とかの前ではエンターテイナー」
祖母・鋼子さん
「家族が皆、体育系なもんだから。そっちの道さいぐべがなと。まさかプロレスになるとは思わねがった」
ツナグ選手が19年の人生の中で経験してきたスポーツは、レスリング、柔道、ラグビー。
デビュー以来、みちのくプロレスの最大の見どころ・飛び技にも果敢に挑んでいます。
記者
「なぜプロレスをやろうと?」
佐藤維 選手
「やろうと思った理由ですか。やっぱりかっこいいからですよね。華麗な技をして、自分もこのリングに立ちたいという思いで、高校卒業のタイミングでもう、このみちのくプロレスに入るって決めました」
金足農業高校を卒業後、迷うことなくみちのくプロレスの門を叩いたツナグ選手は、3歳の頃からプロレスラーになることを夢見ていました。
初めてプロレスを観たのは今、まさに自分が所属している、みちのくプロレスの試合でした。
佐藤維 選手
「昔から観ていた会場で、このプロレス団体で、自分がプロレスラーとなって試合ができるっていうのを、本当にうれしく思います」
記者
「初めて観たのもここ?」
佐藤維 選手
「そうです、ここがスタートですね」
幼い頃からプロレスへの愛がすでに芽生えていたことがよく分かるエピソードを明かしてくれたのは、ツナグ選手と家族ぐるみで付き合いのある男性。
後藤雅則さん
「私に(維選手の)お母さんの携帯から電話をかけてきて、お母さんからの着信だなと思って出ると、維選手本人で、『今度のみちプロ連れて行ってください!』、私が連れて行ったんでなくて、自発的に観たいという」
「私自身もプロレスラーになりたかった頃もありますので、夢を託しているというか、そういった思いでみております」
■「あきらめないで」秋田出身 先輩レスラーの思い
東北を拠点に活動するみちのくプロレスで秋田出身のレスラーがデビューするのは、13年ぶり。
誰もが簡単にデビューすることはできないプロレスラーとして、そして、同じ秋田出身としての先輩であるレスラーは、成長と活躍を期待しています。
羽後町出身・郡司歩 選手
「いろんなことがあると思うんですよ。ケガだったり、いろんな事情とか。やっぱりいろいろ変わってくると思うんですよ。それでもあきらめないでほしいっす。あいつが『あーダメだ』ってなる姿なんて、俺、見たくないんで」
苦労を重ねてきた先輩レスラー、羽後町出身の郡司歩選手、36歳。
2009年にみちのくプロレスに入門した郡司選手は、2年半以上の厳しいトレーニングに耐え、デビューを果たしています。
レスラーとして活躍する傍ら、地元の観光大使も務める郡司選手。
試合の相手がたとえ報道記者であっても手を抜かない、前向きな姿勢を、ツナグ選手にも持ってほしいと願っています。
郡司選手自身は、新たな悪役レスラーのグループに加わり、次の挑戦を始めています。
■家族が見守る中 地元での初めての試合に密着
地元での初めての試合で、ツナグ選手は、3対3の6人タッグマッチに挑みました。
「同じく赤コーナー、地元、秋田市出身165パウンド…佐藤維!!!」
実況:藤田裕太郎アナウンサー
「セミファイナルマッチ、30分1本勝負。実況は藤田がお伝えします。先陣を切ったのは、秋田市土崎出身、佐藤ツナグ!アマレス仕込みの動きで、相手に隙を与えません」
「満員の会場の最前列にいる、父・貢さんは、格闘家、桜庭和志さんと同級生で、レスリングの実力者」
「そんな父を前にいいところを見せたいツナグ選手ですが、早くも先輩レスラーから狙われました。じわりじわりと体力を奪っていくコブラツイストを極められ、苦悶の表情の佐藤ツナグ、さぁ!どう切り抜けるか」
会場
「ツナグ!ツナグ!ツナグ!」
実況
「間一髪、ここはロープに逃れました」
「初めての地元大会で初めての勝利を飾りたい、佐藤ツナグ!さぁどう突破口を見出すか…相手はベテラン野橋…ここで見事なドロップキックが炸裂しました!さらに畳みかけたい佐藤ツナグ…さぁどうする!?出るか、出るか、出るか…出ました!トペコンヒーロ!」
「スローでもう一度ご覧いただきましょう。サスケ選手も得意としていた大技を、デビュー2か月の新人がやってのけました」
「十分に見せ場はつくった佐藤ツナグですが…先輩レスラーの猛反撃が続きます。もはや限界なのか、佐藤ツナグ…初勝利は遠いのか、佐藤ツナグ。立てるのか、佐藤ツナグ…これは厳しい!もはや限界の佐藤ツナグには耐えられない!野橋のラクダ固め・キャメルクラッチが極まる!逃げなきゃダメ…しかしロープに手は届かない!」
「13分48秒、勝者のはしたろう!」
力及ばず、敗れました。
しかし、ふるさとで全力を尽くした新人レスラーの戦いぶりに、心を揺さぶられた観客は、多かったようでした。
家族に、友人に、ファンに、地元での勝利を届ける新たな夢が叶う日は、そう遠くはなさそうです。
記者
「最後に…佐藤維さんにとってプロレスって何ですか?」
佐藤維 選手
「そうですね。プロレスはやっぱり、人に夢を与えてくれる、元気にさせてくれるものだと思っています。小さい頃から観ていたこの会場で、自分はこのプロレスに夢を与えてもらいましたし、プロレスを観ていると自然と元気が出ますし、嫌なことを忘れられる時間になっていると思うので、ひとりでも多くの人に、『秋田市出身の佐藤維』っていう、みちのくプロレスのレスラーがいるってことを、もっともっとこれから、発信していきたいなって思っています」
記者
「プロレス楽しいですか?」
佐藤維 選手
「楽しいですね、はい」
(05/13 17:49 秋田放送)
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