2009年4月26日(
日
) 放送
伝統工芸 温湯こけし
〜心と技・次の世代へ〜
東北地方に数多くあるこけし産地の中で津軽系こけしは黒石市・大鰐町・弘前市で作られたこけしの総称です。今日の活彩あおもりは津軽系こけし発祥の地である黒石市温湯温泉郷で現在も作られている温湯こけしを紹介します。
温湯こけしは木地職人だった故・盛秀太郎が試行錯誤を繰り返し、美しい形と独特な色彩のこけしの原型を作りあげたのが始まりです。木地職人とはろくろを回し、木を削ってお椀や皿など日常で使う食器などを作る職人の事を言います。明治・大正時代、温湯の周りは上質の材木が豊富だったこともあり、数十人の木地職人がいたといいます。そこで秀太郎は温湯温泉に来る湯治客にお土産品としてこけしを作り、それが現在まで温湯こけしとして技術が引き継がれ、根強い人気を誇っています。
アイヌ文様を模したといわれる模様や、胴体の下の部分にだるまや牡丹の花などが描かれているのが温湯こけしの特徴です。だるまは故・盛秀太郎が運気上昇を願い、描いたといわれます。また胴体のくびれは他の地方のこけしには無い形で、美しい曲線に魅力を感じるこけしファンもたくさんいます。
温湯温泉のとなり、落合温泉にある津軽こけし館は津軽系こけしをはじめ、全国のこけしと木地玩具およそ3000点が展示されています。故・盛秀太郎の作品のほか、津軽系こけし工人の作品が数多く常時展示されています。2階がこけし展示室で、1階にこけし工房があります。
こけし工房でこけしを制作している阿保六知秀さん(59歳)は16歳のときからこけし工人として働き、もうすぐ半世紀になります。
こけし作りに使用する木は主にイタヤカエデです。作業工程は削り・磨き・色付けの順番でおこなっていき、削りで15分、色付け・顔を描くまではおよそ30分ほどかかります。
阿保六知秀さんの温湯こけし。
黒石市内にある、こけし工房「きらく木楽」。ここは阿保六知秀さんの息子、正文さんの工房です。阿保正文さんは今年26歳。父であり、師匠でもある六知秀さんのところで5年間修行をつみ、去年5月親元を離れ黒石市内に工房をかまえました。今はお客さんの要望などを取り入れながら温湯こけしの伝統を受け継ぎ、自分らしいこけしを作りたいと思っています。
師匠である六知秀さんの作ったこけしに近づきたいと思い、現在も修行中の正文さん。父のこけしに追いつくことはまだまだ先の話ですが、父の作ったこけしとはまた違った顔立ちのこけしを作り始めています。
向かって右は父、六知秀さんのこけしの形を模しています。ですが、左のこけしの表情は正文さんのオリジナルです。